
10万円借りたはずなのに、手元に来たのは8万5千円。
でも返済するのは10万円+金利。
これが「車でお金を借りる」の現実です。
街中の看板やネット広告で「車に乗ったまま融資OK」「即日現金」といった言葉を見かけたことはありませんか?
急な出費で困っている時、この言葉は魔法のように魅力的に映ります。
でも、ちょっと待ってください。
あなたの車、契約した瞬間から法律上は「あなたのもの」じゃなくなります。
車検証の名義は業者に変わり、原本は業者の金庫へ。あなたの手元に来るのはコピーだけ。
「乗ったままOK」の本当の意味、それは「業者の車を借りて乗っている状態」なんです。
今回は、業界の実態を徹底的に調べて分かった、「乗ったまま融資」の本当の姿をお伝えします。
なぜ車検証の名義が業者に変わるのか
契約時に必ず行われるのが、車検証の名義変更です。
あなたの名前から、業者の名前に書き換えられます。
業界の実態を調べてみると、車検証の原本は業者の金庫に保管され、利用者にはコピーだけが渡されるケースがほとんどだそうです。
本来、車検証は車に積んでおく義務があるんですが、それができない。
なぜなら原本は業者が持っているから。
車担保融資でお金を借りるまでの流れ
車担保融資には「預かり」と「乗ったまま」の2種類があります。
預かり融資は文字通り車を業者に預けるタイプ。
融資額は高めですが、車は使えなくなります。
審査はあっという間
実際の流れを調べてみると、審査から融資まで本当にスピーディーなんです。
電話で仮審査(約10分)
電話で名前、職業、年収、他社借入、車の情報(車種、年式、走行距離など)を伝えます。業者は中古車サイトで相場を調べて、その場で「◯◯万円まで貸せます」と回答。
来店して本審査(30〜40分)
車で店舗に行き、実際に車を見てもらいます。傷や事故歴をチェックされて、最終的な融資額が決定。同時に信用情報の確認や勤務先への在籍確認も済ませます。
契約してその場で現金受け取り
書類にサインすれば、その場で現金を手渡し。振込じゃなくて現金です。「すぐお金が欲しい」という人には魅力的に映るでしょう。
でも、この手軽さこそが危険なんです。考える時間を与えずに契約させる。
融資額の決まり方
融資額は基本的に車の査定額で決まります。ただし、査定額満額は借りられません。
業界の相場を調べると、査定額の約5〜7割が融資額の目安だそうです。
100万円の価値がある車でも、借りられるのは50〜70万円程度。
絶対に知っておくべき4つの危険
表面的には便利に見える「乗ったまま融資」ですが、実際には恐ろしいリスクが隠れています。
危険その1:金利だけじゃない、謎の「手数料」
これが一番ヤバいと思った部分です。
業界の実態を調べてみると、驚くべき事実が分かりました。
多くの業者が、金利とは別に「名義変更手数料」を徴収しています。
普通車なら1万5000円、軽自動車なら7000円程度。
さらに驚くのが、実際の名義変更費用は手数料500円+印紙代100円の合計600円程度だということ。
つまり業者は14,000円以上を「手数料」という名目で抜いているんです。
これ、完全に利息制限法の抜け穴を狙った手口ですよね。
金利は法律の範囲内でも、手数料で儲ける。
しかもこの手数料について、業者側から積極的に説明することはないそうです。
危険その2:業者によって全然違う法律が適用される
車担保融資を行う業者は、実は色々な形態で営業しています。
そして登録の種類によって、適用される法律が違うんです。
| 業者の種類 | 上限金利 | 特徴 |
|---|---|---|
| 貸金業者 | 年15〜20% | 金利は法律の範囲内だが、手数料問題がある |
| 質屋 | 年109.5% | 10万円借りたら1年後には約21万円返済 |
| リース業者 | 規制なし | 「リース料」として利息制限法の対象外になる可能性 |
| 無登録業者 | - | 完全に闇金。絶対に利用してはいけない |
車担保融資を行う業者の中には、こうした法律の抜け穴を巧みに使っているところが少なくありません。
危険その3:返済が遅れたら即アウト、車を失います
「乗ったままOK」だからって安心しちゃダメです。
車の所有者は業者なので、何かあればすぐに引き上げられます。
返済が1日でも遅れたら、業者には車を取り上げる正当な権利があります。
良心的な業者なら多少待ってくれるかもしれませんが、悪質な業者なら、わずかな遅延を理由に容赦なく車を持っていくでしょう。
さらに怖いのが事故の時。車の所有者は業者なので、保険の手続きが複雑になります。
修理費を巡ってトラブルになったり、最悪の場合「事故車は引き取る」と言われて車を失うことも。
危険その4:所有者は業者、でも税金はあなた持ち
これも理不尽な話なんですが、車の所有者は業者になっても、自動車税や保険料はあなたが払い続けなければなりません。
納税通知書は業者のところに届きます。
それがあなたに転送されてきて、あなたが支払う。
所有者としての権利は業者が持っているのに、義務だけはあなたが負う。
もし支払いを忘れたらどうなるか。最終的に困るのはあなたです。
なぜ銀行は車担保ローンをやらないのか
ここで疑問に思いませんか?
「こんなに需要があるなら、なぜ銀行は車担保ローンをやらないんだろう?」
答えは簡単。リスクが高すぎるからです。
不動産は動かせません。でも車は簡単に移動できます。
返済が滞った時、利用者が車ごとどこかに消えてしまったら、銀行は担保を回収できません。
だから銀行は個人向けの車担保ローンを扱わないんです。
逆に言えば、車担保融資をやっている業者は、そのリスクを承知の上で、高額な手数料やグレーな手法で利益を出している。
車でお金の「常連客」になってしまう人たち
業界の実態を調べていて気になったのが、「常連客が多い」という話です。
一度完済しても、また借りてしまう。
業者から「どうですか?」と営業電話がかかってきて、「じゃ、また借ります」となる。
中には手土産を持って来店する常連客もいるとか。
これって、依存してしまっているってことですよね。
一度この仕組みに頼ると、抜け出せなくなる。車の名義はずっと業者のまま。
いつまでも「自分の車」に戻らない。
最後に:その契約、本当に大丈夫?
「車に乗ったままお金を借りられる」という言葉は、確かに魅力的です。
でもその裏には、所有権の移転、高額な手数料、法的なグレーゾーン、そして愛車を失うリスクが隠れています。
車担保融資は「最後の最後の手段」であるべきです。
それも、リスクを完全に理解した上で、覚悟を決めて利用するもの。
「なんとなく便利そう」という理由で使うものでは絶対にありません。
もしあなたが今、お金に困っていて、車担保融資を検討しているなら、一度立ち止まってください。
契約書にハンコを押す前に、この記事の内容を思い出してください。
- 車の所有権は業者に移る
- 10万円借りても手元に来るのは8万5千円
- 返済が遅れたら即座に車を失う可能性がある
- 税金や保険はあなたが払い続ける