
「車担保金融は審査が甘い」という話を耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。
消費者金融や銀行の審査に落ちてしまった方、過去に延滞や債務整理の経験がある方にとって、「車さえあれば借りられる」という情報は非常に魅力的に映るかもしれません。
では、実際のところ車担保金融の審査は本当に甘いのでしょうか。
結論から言うと、車担保金融の審査は、一般的な消費者金融や銀行カードローンと比較して「甘い」と言えます。ただし、その「甘さ」には明確な理由があります。
車担保金融の審査が「甘い」と言われる3つの理由
1. 車という「物的担保」があるから
最大の理由は、車という明確な価値を持つ「担保」があることです。
通常のカードローンは、申込者の信用情報や返済能力だけを基に融資を判断する「無担保ローン」です。そのため、貸し倒れのリスクを避けるために、過去の返済履歴や現在の収入状況、他社借入状況などを厳しくチェックします。
一方、車担保金融では、万が一返済が滞っても、業者側は担保である車を売却することで貸付金を回収できます。つまり、業者にとってのリスクが大幅に軽減されるのです。
このため、申込者の過去の信用情報(ブラックリストなど)や現在の収入状況が、審査においてそれほど重視されません。極端に言えば、「車の価値」さえあれば融資を受けられる可能性があります。
2. 独自の審査基準を設けているから
大手消費者金融や銀行は、信用情報機関(CIC、JICC、全国銀行個人信用情報センター)の情報を基に、画一的な審査を行います。過去に延滞や債務整理の記録があれば、ほぼ自動的に審査落ちとなります。
一方、車担保金融、特に中小の業者は独自の審査基準を設けている場合が多くあります。彼らは申込者の現在の状況や事情を個別に判断し、以下の点を重視します。
- 担保となる車の価値(年式、走行距離、車種、状態など)
- 現在の返済能力(過去よりも「今」返せるかどうか)
- 融資額と担保価値のバランス
そのため、過去に金融事故を起こしていても、価値のある車を所有していれば、融資を受けられる可能性があります。
3. 信用情報機関への照会をしない業者も存在する
驚くべきことに、一部の車担保金融業者は、信用情報機関への照会を行わない場合があります。つまり、ブラックリストに載っているかどうかさえ確認しないのです。
これは、前述の通り「担保の価値」を最優先に考えているためです。業者にとっては、申込者の過去の信用履歴よりも、「いくらで売却できる車を担保にできるか」の方が重要なのです。
ただし、全ての業者がそうではありませんし、信用情報を照会しないからといって必ず審査に通るわけでもありません。
「審査が甘い」の裏にある危険性
ここまで読んで、「審査が甘いなら、自分でも借りられそうだ」と思われた方もいるかもしれません。しかし、「審査が甘い」ことは、決して「安全」や「お得」を意味しません。
車担保金融を装った違法な「ヤミ金」業者が数多く存在し、「審査が甘い」という言葉に誘われて被害に遭うケースが後を絶ちません。
ヤミ金の典型的な手口
- 法外な高金利:年利に換算すると数百〜数千%にもなる、あり得ないほどの高金利を要求します。
- 完済させない:返済日や金額についてわざと曖昧な連絡をし、完済させずに利息を搾取し続けます。
- 手数料の名目で搾取:「名義変更料」「保管料」「リース料」など、様々な名目で高額な手数料を請求します。
- 脅迫的な取り立て:自宅や職場への執拗な電話、近所への嫌がらせなど、精神的に追い詰める悪質な取り立てを行います。
- 車の即時売却:返済が1日でも遅れると、すぐに車を売却してしまいます。
正規業者とヤミ金を見分けるチェックリスト
| チェック項目 | 正規業者 | ヤミ金 | 
|---|---|---|
| 貸金業登録番号 | 必ず提示している | 提示しない、偽の番号 | 
| 広告の表現 | 審査があることを明記 | 「審査なし」「誰でもOK」 | 
| 金利の表示 | 年率20.0%以下で明確に表示 | 法外な金利、または不明確 | 
| 連絡先 | 固定電話番号を記載 | 携帯電話番号のみ(090金融など) | 
| 契約前の説明 | 契約内容を丁寧に説明し、契約書を交付 | 説明が不十分、契約書を渡さない | 
業者を選ぶ際は、必ず金融庁の登録貸金業者情報検索サービスで、正規の登録業者かどうかを確認してください。
まとめ
車担保金融の審査は、確かに一般的な消費者金融や銀行カードローンと比較して「甘い」と言えます。その理由は、車という担保があるため、業者側のリスクが軽減され、申込者の過去の信用情報や収入状況がそれほど重視されないからです。
過去に金融事故を起こした方でも、価値のある車を所有していれば、融資を受けられる可能性はあります。
しかし、「審査が甘い」ことは、決して「安全」や「お得」を意味しません。高金利、車を失うリスク、そして何より悪質なヤミ金業者に遭遇する危険性が常に付きまといます。
もし車担保金融の利用を検討されているのであれば、まずは本当にそれしか選択肢がないのかを冷静に考え、利用する場合は必ず正規の登録業者を選び、契約内容を十分に理解した上で、ご自身の返済能力の範囲内で利用することを強くお勧めします。
審査の甘さに惑わされず、あなたの愛車と生活を守るためにも、慎重な判断を心がけてください。